迎 昭宏のブログ

IT業界で働きながら、週末はボルダリング。たまにライブ・フェス観戦。

動画リワードにおけるeCPM基準、Viewableとは?

動画リワードで各アドネットワークの収益性を判断する一つの基準として、eCPMがある。

静止画と動画の違いだけでなく、動画リワードという特殊な広告の場合、どのようなポイントが重要となるのか考えてみる。

 

静止画広告の時代

まだモバイルバナー(320x50)全盛の時代、各アドネットワークSDKメディエーションしていた頃(その後JSやAPI連携が主流に)アドネットワークが集計したレポートを元にeCPMを計算して、その収益性からアドネットワークの配信割合が決定されていた。

 

ところが、広告の表示回数を意味するインプレッション(IMP)が、アドネットワーク各社で10倍〜100倍違っていたようだ。

まさかと思うが、本当にそれぐらいの差異がでていたようで、一体何を信じて収益性を判断すればいいのか?と悩みながら、辿り着いた答えが自ら広告が表示される際にインプレッションを計測すれば、どのアドネットワークが何回表示したのか公平に把握できたそう。

自ら計測したIMPとアドネットワークのレポートから取得した収益を元に、eCPMの比較が公平にできた。

 

Viewablility

昨今、Viewabilityが重要ということが声高に叫ばれているかと思います。

モバイルアプリのガイドライン

http://www.iab.com/wp-content/uploads/2016/12/Mobile-In-App-Measurement-Guidelines-MMTF-Public-Comment-Draft-Final.pdf

50% of the ad’s pixels for 2 continuous seconds for video

動画の場合は、50%以上の領域でクリエイティブが表示され、2連続秒再生されればViewableと、IABは定義しています。

 

表示領域50%以上で2連続秒表示されればOKというのは、あくまでもクリッカブルであるということが前提であり、重要だと思われます。

 

動画再生中は画面をタップしてもストア・LPに遷移できない動画リワードのViewableはどう判定されるべきでしょうか?

 

動画リワードのViewableの定義は?

動画リワードは勝手に表示される広告ではなく、ユーザーの同意を得て表示されるタイプの広告です。

視聴完了してインセンティブをもらうことを約束して観るのに、途中で離脱、スキップ、キャンセルするのであれば、それは広告を観なかったとみなしてもいいのではないでしょうか?

強制的に観せられた広告(インセンティブを貰えるというポジティブな感情で広告を観ていない)を途中で閉じるのとは意味が違う。

 

動画視聴完了に至らないケース

1.ユーザーが自らの意志で動画視聴をキャンセルする(インセンティブ放棄)
2.電話やLINEなどの通知があり、他のアプリに切り替えて忘れる。電車の乗り換えで端末をスリープにして、ロック解除&復帰してもPUSHノーティフィケーションなどで他のアプリに移動されてしまう。(忘却)
3.動画再生プレーヤーなどの不具合、通信環境による問題。
4.不正(ad fraud) 

 

出稿側の立場からすると、「全画面表示100%視聴完了するから効果が高い」と説明されるのに、最後まで視聴完了しなければストア・LP遷移できない数字を元にCV、CVRなど計算されても意味がない。


※一部アドネットワークでは途中キャンセルしてもストア・LPに遷移可能なアドネットワークもある。途中キャンセル自体が普通に動画をみているだけでは表示されないので特殊な事例。

 

それはクリックできない画面領域外で表示されたモバイルバナーの価値を認めないのと同じで、動画リワードでクリックできない(Viewableでない)のを指標にされても意味が無いということ。

 

やはりクリッカブルでストア・LPに遷移して、コンバージョン達成できる状態である視聴完了をベースにしたeCPM計算が正しいのではないか。

 

ただし、一つだけ注意しなければいけないことがある。視聴完了率だ。

動画リワードは完全視聴が条件で観るので、95%以上の視聴完了率なのが当たり前で、あまり気にしたことがなかった。

 

2016年真夏の猛暑日に、メディアさんから相談があるとランチミーティングをした。

 

自社メディエーションツールでマネタイズしていて、アドネットワークの配信比率を計算していたようなのだが、あるアドネットワークが収益性が高いので配信割合を多くしたのに売上があがらず、様々なデータを調べたところ視聴完了率が80%になっていて、気がつくまで時間がかかって損をしてしまったと。

 

アドネットワーク各社のIMPの基準はどこなのか?教えてと言われたことがきっかけで真剣にeCPMの基準は視聴完了にすべきでは?と考え始めた。

 

アドネットワークの仕様をみていても、eCPM算出根拠としている数値は3つある。

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表示開始(SHOW)、視聴開始(START)、視聴完了(FINISH)の3つ。

 

表示開始(SHOW)

動画がまだ再生されていない状態。アドネットワークによってはエンドカードを組み立ててから(表示は一瞬で気がつかないレベル)動画が再生される。動画再生プレーヤーがクラッシュなどで視聴完了しなかった時は、表示開始だけしか発生していない状態になる。

 

視聴開始(START)

動画再生プレーヤーで動画が流れ始めた状態。視聴完了する前までに、ホームボタンを押下したり他のアプリに切り替える、端末スリープする、割り込み(電話、LINEなど)があった場合は動画再生が一時停止する。アプリに復帰すれば、自動で動画再生が再開する。

 

視聴完了(FINISH)

ここまで到達できるとユーザーにインセンティブが付与される。エンドカードが表示されて、タップしてストアやLPに遷移するか、閉じるボタンでアプリに戻る。

エンドカードを閉じないと視聴完了通知がこないアドネットワークもある。

 

 

収益性が高いからと言って、配信割合を増やしても売上が増えなかったとしたら視聴完了率を確認する必要がある。

95%以下になったらアラート、90%以下になったら何か不具合が起こっている可能性があるので要注意

 

視聴完了率の低くなったアドネットワークがあったら、手動で配信比率固定にして様子を見たほうが良く、クラッシュログが取れているのであれば、端末やOSバージョンを特定して、アドネットワークに報告すると検証してくれる。